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ご覧いただきましてありがとうございます。

このブログでは私がCIDPを発症してから寛解していくまでのいろんなことを綴っております。

基本的には当時の日記を元に書き直しているので最新の情報ではないこともあります。

そしてこれは私個人の体験談であり一般的な医療情報にとどまることをご承知おきください。

病気の性質上、症状、治療方法、経過などは一人ひとり違います。

治療や症状についての具体的なことは、必ず主治医とご相談ください。



K大学病院で「胸郭出口症候群だろう」と言われた時、もちろんまたすぐに調べました。

当時(2012年)は「gooヘルスケア」の中に詳しい情報があり分かりやすかったのですが、残念ながら2019年にサービス終了されていますね。

そこで今回は、あらためて日本整形外科学会の情報を参考に、胸郭出口症候群についてご紹介します。



胸郭出口症候群とは


日本整形外科学会によると、胸郭出口症候群は、このような病気だと説明されています。


上肢やその付け根の肩甲帯の運動や感覚を支配する腕神経叢(わんしんけいそう)と鎖骨下動脈は、①前斜角筋と中斜角筋の間、②鎖骨と第1肋骨の間の肋鎖間隙、③小胸筋の肩甲骨烏口突起停止部の後方を走行しますが、それぞれの部位で絞めつけられたり、圧迫されたりする可能性があります。

その絞扼(こうやく)部位によって、斜角筋症候群、肋鎖症候群、小胸筋症候群(過外転症候群)と呼ばれますが、総称して胸郭出口症候群と言います。胸郭出口症候群は神経障害と血流障害に基づく上肢痛、上肢のしびれ、頚肩腕痛(けいけんわんつう)を生じる疾患の一つです。


要するに、鎖骨周辺の狭い隙間(=胸郭出口)で、腕や手指に行く末梢神経の束(=腕神経叢)や血管が圧迫されて起こる病気、ということですね。



主な症状


胸郭出口症候群では、以下のような症状が現れるとされています。


腕を挙げる動作でのしびれや痛み: つり革につかまる時や、物干しの時のように腕を挙げる動作で、上肢(腕全体)のしびれや、肩・腕・肩甲骨周囲の痛みが生じます。

感覚障害: 前腕の小指側や手の小指側に沿って、うずくような、ときには刺すような痛みや、しびれ感、ビリビリ感などの感覚の異常があります。

運動麻痺: 手の握力低下や、箸を使う、ボタンをかけるなどの細かい動作がしにくいといった症状があります。進行すると、手指の運動障害や握力低下がある場合、手の甲の骨の間がへこんだり、手のひらの小指側のもりあがり(小指球筋)がやせてきたりすることもあります(筋萎縮きんいしゅく)。

血管圧迫による症状:

鎖骨下動脈が圧迫されると、腕の血行が悪くなり、腕が白っぽくなったり、痛みが生じたりすることがあります。

鎖骨下静脈が圧迫されると、手や腕の静脈血の戻りが悪くなり、青紫色に変色することもあります。

首や肩・腕を特定の位置にもっていくと、腕や手指にしびれやだるさ、痛みなどが現れるのが特徴です。


当時、gooヘルスケアには「首が長く、なで肩の女性に多く、20代にピークがあります。」と書かれていたのですが……

私、間違ってもなで肩じゃないんですよね!

むしろ肩パット要らずの肩幅(笑)。

調べてみると、首や肩を鍛えすぎて筋肉がつきすぎたスポーツマンにも多いらしいので、もし私が胸郭出口症候群だとしたら、そちらのタイプだったのかもしれないな、と考えました。



症状の現れ方、私の場合


症状の現れ方について当時のgooヘルスケアには、


指や腕のしびれ、熱感・冷感、脱力感で始まります。徐々に首や肩、肩甲部のうずくような痛みが現れます。

症状は、電車のつり革につかまる時のように肩をあげて後ろに反らす運動や、首を反対側に傾けてさらに後ろへ反らす運動をする時に強くなります。

神経が圧迫されるとしびれや痛みが現れ、動脈が圧迫されると腕や手指の色が蒼白になり、静脈が圧迫されると腕や手指の色が暗青紫色になります。

進行すると、このような動作がまったくできなくなります。

という説明がありました。

ここで当時の私が特に「これだ!」と当てはまったのは、肩を上げて後ろに反らす動きで症状が強まるという部分でした。まさに、日常生活で腕を上げるとすぐにだるさや痺れを感じていたんです。


検査と診断方法


胸郭出口症候群は、症状と病歴から推測されるだけでなく、以下のような誘発テストでさらに診断を確かなものにするようです。

・モーレイテスト: 鎖骨の上のくぼみ(鎖骨上窩)を指で圧迫し、痛みやしびれが出るかを確認します。

・アドソンテスト: 首を反対側に倒して反らせた時に、手首の動脈の脈拍が触れなくなるかを見る検査です。

・ライトテスト: 肩を上げて後ろへ反らせた時に、手首の動脈の脈拍が触れなくなるかを見る検査です。

・3分間挙上負荷テスト: 肩を上げて後ろへ反らせた位置で、指の屈伸運動を3分間続けられるかを確認します。腕がだるくなったり、途中で続けられなくなったりすると陽性とされます。

また、画像検査では、血管造影やMRI血管造影で、特定の姿勢で血管内の造影剤が途切れる様子が見られることもあるそうです。



予防と治療


日本整形外科学会では、胸郭出口症候群の予防と保存療法について次のように説明しています。


予防と保存療法が大切です。

症状を悪化させる上肢を挙上した位置での仕事や、重量物を持ち上げるような運動や労働、リュックサックで重いものを担ぐようなことを避けます。

症状が軽いときは、上肢やつけ根の肩甲帯を吊り上げている僧帽筋や肩甲挙筋の強化運動訓練を行なわせ、安静時も肩を少しすくめたような肢位をとらせます。

肩甲帯が下がる姿勢が悪い症例には肩甲帯を挙上させる装具が用いられます。消炎鎮痛剤、血流改善剤やビタミンB1などの投与も行なわれます。


つまり、治療の基本は「保存療法」が中心となるようです。私自身が症状に不安を感じていても「保存療法=様子見、何もしない」ということに物足りなさを感じていた時期でも、「治療方針としては間違っていない」ということで自分を納得させるのでした。

なお、症状が重い場合や、頚肋(けいろく)と呼ばれる生まれつきの余分な骨がある場合は、手術が行われることもある、とのことです。



大切なこと:もしも不安を感じたら


大切なこと:もしも不安を感じたら

ここでご紹介している情報は、私が当時「胸郭出口症候群」の可能性を指摘され、自分自身で調べて得た情報です。

そして、現在の日本整形外科学会などの情報を参考に加筆・修正しています。

症状や診断方法、治療法は一般的な内容であり、全ての方に当てはまるわけではありません。

もし、今あなたも腕や手のしびれや痛み、だるさなどで不安を感じているなら、決して自己判断はせず、必ず専門の医師にご相談ください。

特に、胸郭出口症候群は他の病気と症状が似ていることも多く、適切な診断と治療を受けることが何よりも大切です。


Wrote this articleこの記事を書いた人

にゃこりん

にゃこりん 女性

2011年9月発症、2013年5月CIDPと診断。2021年10月Ivig終了。2022年7月寛解。2024年11月通院卒業。治療期間8年、発症から卒業までは13年。CIDPになって失ったもの、残っていたもの、新しく手に入れたもの……私の一部となったCIDPとともに、これからも私らしく生きていく。

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